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みなさん、こんにちは。

行政書士の坂本圭士郎です。

今回は、相続手続きの後の生活のお話について、お伝えさせて頂きます。

例えば、将来配偶者に先立たられても、亡くなった夫・妻の遺族年金を当てにして、生活設計を

考えられている方も少なくないと思います。

そこで、今回は遺族年金についてお伝えさせて頂きます。

 

一般的に「遺族年金は亡くなった人の年金の4分の3」とよく言われますが、この表現は正確ではなく、実際の受給額はもっと複雑に計算されます。ここでは、その仕組みをわかりやすく解説します。


遺族年金の種類

遺族年金には大きく2つの種類があります。

  1. 遺族基礎年金

    • 国民年金に加入していた人が対象。
    • 子どもがいる配偶者や子ども自身が受給できる制度です。
  2. 遺族厚生年金

    • 厚生年金に加入していた人が対象。
    • 配偶者が主な受給者で、子どもの有無に関係なく受給できます。

遺族厚生年金の受給額の計算方法

「亡くなった人の年金の4分の3」と言われるのは、亡くなった人の老齢厚生年金部分の4分の3 を基準に計算されるためです。しかし、基礎年金部分は含まれず、さらに受給者自身が老齢年金を受け取っている場合は調整があります。

計算ルール

  1. 基本計算

    • 亡くなった人の老齢厚生年金部分(基礎年金を除く)の4分の3が受給の基準額。
  2. 配偶者が自分の老齢年金を受給している場合

    • 自分の老齢厚生年金の半額と、亡くなった人の老齢厚生年金の半額を足した額を計算します。
    • この金額と「老齢厚生年金の4分の3」とを比較して、高いほうを選びます。
  3. 自分の老齢基礎年金部分は減額されない

    • 自分の老齢基礎年金部分はそのまま受け取れますが、その分、遺族厚生年金が減額されます。

具体例で解説

  • 夫の年金

    • 総額20万円(基礎年金6.8万円+厚生年金13.2万円)。
    • 遺族厚生年金の基準額:13.2万円 × 3/4 = 9.9万円
  • 妻の年金

    • 総額12万円(基礎年金6.8万円+厚生年金5.2万円)。
    • 妻の年金と遺族厚生年金の調整後、支給額は約4.7万円に。

1)(20万円-6.8万円*)×3/4=9.9

(2)(20万円-6.8万円)×1/2+(12万円-6.8万円*)×1/2=9.2

 (1)>(2)なので、遺族厚生年金の受給額は9.9万円。ただし妻の老齢厚生年金5.2万円は全額支給となり、その分、遺族厚生年金は支給停止。受け取れる遺族厚生年金は4.7万円となります

つまり、夫が月20万円受け取っていたとしても、妻が受け取れる遺族厚生年金はその4分の3、つまり15万円にはならないのです。


注意点

  • 基礎年金は対象外:遺族厚生年金は厚生年金部分のみが計算の対象です。
  • 配偶者の年金との調整:配偶者が老齢年金を受給している場合、全額受け取れないことが多いです。
  • 「4分の3」は簡略化された表現:実際には条件や計算方法によって大きく異なります。

老後の備えとして

遺族年金だけでは十分な生活費をカバーできないケースが多いです。夫婦で事前に老後の生活費について話し合い、遺族年金以外の収入源や資産形成を計画しておくことが大切です。

遺族年金の仕組みをしっかり理解し、誤解を避けて安心できる老後を準備しましょう。

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坂本 圭士郎

立命館大学法学部卒業。豊和銀行勤務を経て、行政書士試験に合格。相続手続き を専門とした行政書士コリンズ法務事務所を設立。大分県内各地で、分かりやす く相続手続きのを伝...

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