【遺言の作成や保管、遺言執行までお願いできる信託銀行の「遺言信託」とは?】
皆さん、こんにちは。
行政書士の坂本圭士郎です。
先日、お客様より「相続の手続きを誰に頼んで良いのか、わからない。」とのご意見を頂きました。
手続きによりますが、士業ひとつをとっても弁護士、司法書士、税理士、行政書士などが相続業務を行っているためです。
また、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、信託銀行や証券会社も「相続手続き」をサポートしています。
今回は、信託銀行等(以下、「信託銀行」)が行う「遺言信託」についてお伝えします。
遺言信託とは
「遺言信託」とは、信託銀行が遺言書作成を支援してくれて、できあがった遺言書を保管し遺言執行まで行ってくれるサービスです。
「遺言信託」で受けられるサービスは遺言内容の相談、遺言書作成の支援、遺言書の保管、資産活用のアドバイス、そして遺言執行までお願いすることができます。
遺言信託の流れとしては、まず、対応している信託銀行へ相談し遺言内容を決定します。
その後、その内容に基づいて、公正証書遺言を作成し、次に、信託銀行と遺言信託契約の締結をします。
そして、被相続人が死亡した際はその旨を信託銀行に通知することにより、信託銀行が各種調査や財産目録の作成し、提携している専門家を通して遺言の執行をすることになります。
遺言信託にかかる費用
遺言信託は便利なように思えますが、「費用が高額」というデメリットがあります。
基本的には「遺産の額(相続税評価額)」に一定割合を掛け算して計算されますが、多くの金融機関で「最低報酬額」が定められています。
たとえばメガバンクの場合では最低報酬額は110万円や165万円などの金額設定で、「最低でも100万円」はかかることを考えていた方が良いでしょう。
また、遺産の額によって上記の金額よりさらに上乗せされていく場合もあるので注意が必要です。
遺言信託のメリット・デメリット
「遺言信託」のメリットとして
・遺言内容の相談ができる
・遺言書作成をサポートしてもらえる
・遺言執行もしてもらえる
・安心感がある
・資産運用のアドバイスを受けられる
特に資産運用のアドバイスを受けられるのは金融機関ならではのメリットではないでしょうか?
一方、デメリットとしては、
・費用が高い
・身分上の行為については遺言執行してもらえない
・遺言内容によっては断られるケースがある
・親族同士でもめると対応してもらえない
最後に遺言信託は基本的に、富裕層を主なターゲットとしています。そのため一般家庭での利用は費用的にも適さない場合が多いです。
遺言書を作成して相続対策を検討する場合は、まず、相続に積極的に取り組んでいるお近くの士業(司法書士、行政書士等)に相談してみることをお勧めします。
次回も是非お楽しみに。
行政書士 坂本 圭士郎
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