【子どものいない夫婦の相続!全財産を妻に残す方法とは? 行政書士 坂本 圭士郎】
皆さん、こんばんは!
行政書士の坂本圭士郎です。今回は、相続に関するご相談で特に多い
「お子様のいらっしゃらないご夫婦」の相続についてお伝えします。
子どもがいないご夫婦の夫が妻の将来を案じ、相続財産を全て妻が受け取れるようにと考えるのは当然のことです。
このような場合、どのような方法で夫の財産を妻に相続させることができるでしょうか?
相続人は誰になる?
相続において配偶者は常に相続人となり、被相続人に子がいなければ、また、父母(祖父母)の直系尊属がいなければ、兄弟姉妹(甥姪)が
法定相続人となります。
ただし法定相続分は、あくまでも法律によって定められた法定相続分です。
遺言で相続分が指定されていれば、法定相続分よりも優先されます。
遺留分権利者の検討の必要
遺留分を有するものを遺留分権利者と言います。相続対策にあたって、遺留分を考える必要があります。
遺留分とは兄弟姉妹以外の相続人に認められた最低限の相続分です。
遺留分を無視した遺言は無効となりませんが、遺留分を有している方に遺留分侵害額の請求権を行使されると、原則、遺留分を侵害した部分に
相当する額の金銭を支払わなければならなくなります。
ただし、遺留分を有する相続人がいても行使されなければ影響は受けないため、遺言書で指定された相続分も有効となります。
妻に財産を全て相続させるには?
子がいない夫婦において夫が全ての財産を妻に相続させるというのは理論上、不可能ではありません。
その際に必ずしておくべきことは、遺言書の作成です。遺言書の中で「全財産を妻へ相続させる」と記載してしまえば、
夫に兄弟や姉妹がいる場合でも、兄弟姉妹には遺留分が与えられていないため相続財産が渡ることはありません。
しかし、父母、祖父母は直系尊属として遺留分を有しています。
この場合は妻に全ての財産を相続させたいことを生前に説明しておいたり、遺言書にその旨を記載しておくことで、直系尊属(父母等)からの理解を得られ、全ての相続財産を妻に残せる可能性が高くなります。
前妻との間に子がいる場合は注意が必要
現在の妻との間に子がいなくても、前妻との間の子は、相続人となります。
一般的に相続権を有する子が存在する場合において、その子に相続をさせないというのは
かなり困難です。こうしたケースでも遺言を残すなどして、できる限り多くの財産を妻へ残せるように対策することが
重要となってきます。
最後に、妻に全財産を相続させることは上記のように可能ではありますが、トラブル回避のため自分のなくなった後の妻と他の相続人との関係も
考慮して相続対策を考えると良いかもしれません。
次回も是非お楽しみに。
行政書士 坂本 圭士郎
この記事へのコメントはありません。