相続放棄すれば安心!?空き家となった実家の管理義務 行政書士 坂本圭士郎
みなさん、こんにちは!
行政書士の坂本圭士郎です。
最近、空き家となった実家の処分や管理につき、ご相談を頂く機会が増えています。昨年の土地統計調査では空き家数は過去最高の846万戸に達し、全住宅の約14%を占めるようになっています。いざ、相続人として空き家となった実家を相続しても、物理的に管理することができない場合や管理しようとしても修繕に費用がかかる等の理由で相続放棄を考える方も少なくありません。
そこで、今回は相続放棄と空き家(相続財産)の管理義務についてお伝えします。
1 相続放棄の効果
以前、相続放棄についてお伝えさせて頂きしたが、相続放棄をすると、その人は、その相続に関しては、はじめから相続人とはならなかったものとみなされます。
つまり、相続放棄すると相続すべき権利義務を一切承継しないので実家の管理義務も承継しないと考えられます。
では、相続財産に不動産がある場合に相続人の全員が相続放棄をし、相続財産を相続する者が居なくなった場合、当該不動産はどうなってしまうのでしょうか。誰が管理していくのでしょうか。
2 不動産の相続における民法の規定
民法において、相続人は、相続の承認または放棄をするまで、相続財産を管理する義務を負わなければならないと定めているので、逆に言えば、相続放棄をした後は、相続財産を管理する義務を免れることになりそうです。
しかし、相続放棄によって相続財産を管理する者がだれもいなくなってしまうということになると、不都合が大きく妥当ではありません。
そこで民法940条では、
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない
と規定しております。
つまり、被相続人の自宅に暮らしている相続人は、相続財産である自宅を「現に占有」していると言えるため、相続放棄後も管理しなければなりません。
今回は、相続の放棄と自宅の管理義務についてお伝えさせて頂きました。
次回も是非お楽しみに。
行政書士 坂本 圭士郎
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