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皆さん、こんにちは。
行政書士の坂本圭士郎です。

今回は、家族のためにせっかく遺した「遺言書」がトラブルになってしまったケースをご紹介します。

遺言書が火種になったケース
Aさん(享年86歳)は、亡くなる1年前に長男さん(58歳)に遺言書を託していました。

そこには、妻(81歳)に同居しているマンションを、金融資産は妻・長男・次男にそれぞれ6:3:1の割合で残す内容が書かれていました。この遺言書を読んだ長男さんは「これでは次男(49歳)が文句を言うよ。もう少し増やしてやった方がいいのでは?」と父親であるAさんに伝えました。するとAさんは、「次男には散々迷惑をかけられた。会社経営に失敗したため、借金の肩代わりで5百万円は無駄にしたぞ。しかも、たまに顔を出すと金の無心ばかり。」と怒りで声を震わせながら長男の提案を受け入れませんでした。そして、「お前を遺言執行者に指名しているから、俺が死んだらこの内容を実現するように頼んだぞ」と言って遺言書を封に入れて手渡したのでした。

「こんな遺言書は不当だ!」
Aさんの葬儀があわただしく終わり、四十九日の法要を迎えました。長男は次男に「実は、親父が遺言書を残していたんだ。内容は読んでくれ。俺は遺言執行者に指定されているから、親父の意思を実現するようにこれから手続きするから」と言って遺言書を見せました。

すると遺言書を見ていた次男の顔色が怒りで真っ赤になっています。そして次男は、「こんな遺言書は無効だ!遺言書を書いた頃、既にお親父は認知症を発症して自分のこともわかっていなかったじゃないか!この遺言書は兄貴が焚きつけて書かせたんだろう。俺は認めない!」と言って帰ってしまいました。この遺言書を残した当時、確かにAさんはたまに長男に向かって「お前はけしからん奴だ!」と次男と間違えて怒り出すことがありました。もしかしたら次男に対しても似たような言動があったのかもしれません。長男は、次男の「遺言は無効」という言葉が頭から離れずどうしたらよいのかわからなくなってしまいました。
(フィクション)

「遺言能力」が遺言書の鍵となる?!
上記のケースのように、遺言書が原因で相続人同士がトラブルになっていくことがありあます。トラブルの主な原因は「遺言能力」です。遺言能力とは、簡単に言えば遺言を残す本人が、遺言の内容を理解して、自分の死後にどのようなことが起きるかを理解することができる能力のことです。

遺言能力の判定基準は?

「遺言能力の判定基準」について言及した判例を見てみると、東京地方裁判所2004年7月7日判決において遺言能力の有無の判断は、遺言者の遺言作成時の精神状態、遺言内容の合理性、遺言作成時の状況などあらゆる事情を総合的に考慮して個々の事案において判断される。とされています。(簡単に要約)

せっかく遺した遺言書が返って家族のトラブルの火種になってしまうこともあります。「遺言書」は、心身ともに元気な内に遺すことをお勧めします。

行政書士
坂本圭士郎

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坂本 圭士郎

立命館大学法学部卒業。豊和銀行勤務を経て、行政書士試験に合格。相続手続き を専門とした行政書士コリンズ法務事務所を設立。大分県内各地で、分かりやす く相続手続きのを伝...

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