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みなさん、こんにちは。

行政書士の坂本です。

『長年、母親の介護を担っている私はどうなるの?』

家族が亡くなった後、避けては通れないのが「遺産の分け方」です。

穏やかに話し合って決められれば理想ですが、

「自分だけが介護を続けてきたのに、結局は半分ずつなんて納得できない」
と、気持ちのぶつかり合いが起きることもあります。現在の相続手続きにおいて、「相続」と「介護負担」は遺産分割協議を行う上で切り離せないものとなっています。

また、介護を担ってきた人とそうでない人との間で思いの差が生まれやすく、相続と介護負担の問題は、相続間でトラブルに発展する場合も少なくありません。今回は、過去にも「法定相続分」についてお伝えさせて頂きましたが、相続手続きで相談事例が多い以下のケースに基づいてわかりやすく「法定相続分」と「介護負担」についてお伝えさせて頂きます。

誰が相続人になる?

相続には、法律で定められた「相続人の順位」があります。

第1順位:死亡した人の直系卑属(子どもや孫など)
第2順位:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
第3順位:死亡した人の兄弟姉妹

そして、配偶者は常に相続人となります。

同じ順位の相続人が複数いる場合は、法律上は“平等に分ける”のが原則です。
したがって、相続人が姉妹のみで遺産が4000万円なら、法律上の取り分は一人あたり2000万円となります。

法定相続分は「目安」であり、絶対ではない

民法で定められている「法定相続分」は、あくまで“相続人全員で話し合いがまとまらなかったとき”に適用される標準的な取り分です。

そのため、相続人全員が話し合う「遺産分割協議」で合意ができれば、必ずしも法定相続分どおりに分ける必要はありません。また、被相続人が遺言書を残している場合も、その内容が優先されます。

ただし注意したいのは、遺産分割協議には相続人全員が参加していなければならないという点です。

誰か一人でも欠けている協議は原則無効となり、改めて全員で協議をやり直す必要があります。

介護を続けてきた人には「寄与分」という救済がある

被相続人の生活を支えたり、財産の維持に特別な役割を果たした相続人には、
「寄与分」 という制度が認められることがあります。

たとえば、

長期間にわたって介護を担った、家業を支え、財産の維持に大きく貢献したなど、明らかに“特別な働きかけ”があった場合です。

寄与分が認められると、法定相続分より多く財産を受け取れる可能性があります。

ただし、貢献の内容を説明したり、証拠資料を集める必要があるため、主張の際には弁護士等の専門家の助言を得ることが必要です。

トラブルを避けながら納得のいく解決を目指すためにも、相続の仕組みと選択肢を事前に知っておくことが大切です。

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坂本 圭士郎

立命館大学法学部卒業。豊和銀行勤務を経て、行政書士試験に合格。相続手続き を専門とした行政書士コリンズ法務事務所を設立。大分県内各地で、分かりやす く相続手続きのを伝...

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