スマホの中も年末整理を。「デジタル終活」で安心の備えを
行政書士の坂本です。
秋も深まり、そろそろ年末の準備を意識する頃ですね。
家の掃除や書類の整理を始める人も多い時期ですが、意外と見落としがちなのが「スマートフォンやネット上の情報整理」です。
いまや、インターネットを利用する人は全年代で9割を超えています。特にスマートフォンは、写真や動画、連絡先、SNS、ネットバンキングなど、私たちの生活のあらゆる情報が詰まった“小さなパソコン”のような存在です。
もし自分に万が一のことがあったとき、その中のデータを家族はどう扱えばよいのでしょうか。
近年、「デジタル遺品」と呼ばれるスマホやパソコン上のデータが、遺された家族を悩ませるケースが増えています。
SNSやネット銀行のアカウント、サブスクリプションの契約など、本人以外がアクセスできないまま放置されると、解約手続きができずトラブルの原因になることもあります。
こうした問題を防ぐために注目されているのが、「デジタル終活」です。
スマホの普及した現代においては、デジタル終活の重要性は日に日に増しています。
「デジタル終活」の基本は3つのステップ
1 まずは、自分がどんなデジタル情報を持っているかを洗い出すことから始めます。
スマートフォンやパソコンのロック解除方法、各種アカウントのID・パスワードなど、家族が知っておくと助かる情報をリストにまとめましょう。使っていないアプリやサービスは、この機会に削除してスッキリさせるのもおすすめです。
2 次に、「残したいもの」と「消しておきたいもの」を整理します。
思い出の写真や大切な連絡先、金融関連のデータなどは安全に保管し、不要なアカウントは早めに削除をしましょう。
また、もし自分に何かあったとき「誰に連絡してほしいか」「どの情報を共有してよいか」なども決めておくと、家族が迷わず対応できます。
3 そして最後に、整理した内容を「エンディングノート」などに記録しておくこと。
パスワードの保管場所やデータの処分方法を明確にしておけば、家族の負担を大きく減らすことができます。
エンディングノートは書店や文具店、インターネットなどで入手でき、最近では無料でダウンロードできる形式も増えています。
法的な効力はありませんが、自分の意思を伝え、家族への思いやりを残すツールとして有効です。
便利なデジタル機器は、私たちの暮らしを豊かにする一方で、情報管理の負担も増やしています。
「デジタル終活」は、未来のためだけでなく、今の自分のデジタル環境を見直すチャンスでもあります。
年末の片づけと合わせて、スマホやパソコンの中も少しだけ整理してみませんか。
それが、あなたと家族の安心につながる第一歩になるかもしれません。

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