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みなさん、こんにちは。

行政書士の坂本です。本年も引き続きよろしくお願いいたします。

今回は、

「老老相続」における「遺贈寄付」についてお伝えさせて頂きます。

日本の少子高齢化が進む中、相続に関して被相続人と相続人の両方が高齢者であるケースが増えています。このような状況では、相続された遺産が次世代に引き継がれることなく、経済活動に十分に活用されないという問題が発生しています。この現象を「老老相続」と呼び、社会的な課題として取り上げられています。

この問題の解決策として注目されているのが「遺贈寄付」です。遺贈寄付とは、被相続人が自分の遺産の一部または全てを、家族以外の非営利団体などの公益的な団体に寄付する仕組みです。この方法により、遺産が単に家族内で循環することなく、社会的な問題解決に貢献することができます。特に、相続人がいない場合や高齢者にとっては、社会とのつながりを持ちながら遺産を活用する良い方法となります。

遺贈寄付の実施方法には、遺言や信託を活用する方法があります。遺言によって、自分の遺産を特定の団体に寄付することができますし、信託を通じて死後に指定した団体に寄付を行うことも可能です。このように、遺産が経済的に活用されずに社会に還元される仕組みが整っていることが重要です。

実は、遺贈寄付が盛んな国々と比較すると、日本はまだその文化が十分に根付いていません。特に、アメリカやイギリスでは遺贈寄付の額が非常に大きく、寄付を行うことが一般的な文化となっています。一方で、日本では法定相続の制度が強く根付いており、遺産の分配において自分の意志を反映させることが難しい状況です。しかし、遺贈寄付という言葉が知られてきていることにより、少しずつその文化が広がりつつあります。

また、遺贈寄付を選んだ人々の多くは、自身の人生と深く関わる団体に寄付をすることに意義を感じています。たとえば、がん患者支援団体に寄付を決めた男性は、亡き妻への思いを込めて寄付をした例があります。このように、遺贈寄付は単に物理的な財産の寄付にとどまらず、寄付する人自身の人生の歩みや想いを反映させる手段となります。

遺贈寄付を実施する際には、寄付先の団体がどのような財産を受け入れるかを確認することが重要です。特に、不動産などは団体によって受け入れられない場合があるため、事前に詳細を確認することが必要です。団体側によっては、負債の引き受けを避けるために、「包括遺贈」の受け入れを断ることもあります。このような注意点を理解し、専門家に相談することが重要となってきます。

遺贈寄付が広がることで、社会的に価値のある活動が支援され、経済的にも良い影響を与えることが期待されます。そのためには、個人が少額でも自分にできる範囲で寄付を行い、その意義を周囲にも広めていくことが大切です。寄付は多額でなくても、社会全体の寄付文化の形成には重要な役割を果たします。

このように、遺贈寄付は単なる財産の譲渡ではなく、社会とのつながりを深める手段として、そして次世代のために意義ある資産の活用を促進する方法として、今後ますます注目されるべきです。

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坂本 圭士郎

立命館大学法学部卒業。豊和銀行勤務を経て、行政書士試験に合格。相続手続き を専門とした行政書士コリンズ法務事務所を設立。大分県内各地で、分かりやす く相続手続きのを伝...

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